まるすけ(@marusukepapa)です。
2025年2月18日(火)の夜、一緒にテレビを観ていた妻が突然目の前で意識を失いました。
すぐに救急車で搬送され緊急手術。
術後、医師から告げられた病名は
『脳梗塞』
でした。
「45才の若さで…?」
「ウソだろ…?」
『脳底動脈先端閉塞症(のうていどうみゃくせんたんへいそくしょう)』
という脳梗塞全体の中でも1%という稀な場所での発症との事。
ネットの情報も極端に少なく、内容も悲観的なものばかり…。
頭がおかしくなりそうな日々でした。
医師からは
「意識の回復は見込めないでしょう」
とまで言われましたが、奇跡的に今は後遺症を残しながらも在宅復帰して生活しています。
そんな、情報の少ない脳底動脈先端閉塞症。
「今後もし同じような状況になった方が、少しでも参考にしてくれたら…」
そんな想いから、数回にわたり私が書き留めておいた記録を元に妻の闘病記を公開していきたいと思います。
※文章は記録の文体のまま記していきます。
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7/28(月)
仕事後に面会。
身体障がい者申請に必要な医師の診断書が完成したと連絡を受けたので受理し3階へ。
共有スペースのテレビが見える位置で、車椅子に座っているみいを発見。
声をかける。
「パパ、ワシどうしていいか分からん」
「いつものセリフが出たね」
「ちょうど今、立ち上がろうと思ってたんだよ」
「で、怒られると」
「この際、怒られてもいいかと思ってさぁ。早くおうち帰りたいねー」
「もうすぐだよ。あとこれだけの日数」
と、退院までの日数が書かれたパパイラストを見せる。
「ルパン三世だー!えーと、卒業まで…」
「卒業してどうする」
「あぁ、『退院まで17日』か」
「どう思った?」
「17日ね。いい感じだと思ったよ。『え!17日!?』って感じ」
と、笑顔でやり取りする。
イラストを眺め、ルパン三世のテーマ曲を口ずさんでいた。
音程が合っていたので
「みい、前にも言ったけど歌のうまさはしっかり残ってるね」
と伝える。
「残ったねー。よかったよ残ってて」
と笑顔を見せる。
「これなら退院した後、カラオケできるね!」
「ワシ、カラオケ好きだもんねー。パパはカラオケ嫌いだけどね」
と笑いながら言っていた。
「あと17日かー」
「と、その前に、今日は何曜日?」
「月曜!」
「あら正解。なぜ分かった?」
「誰かがそう言ってたんだよねー、誰かは忘れたけど」
「そうなのか。でもそれを覚えてたのがスゴイね。で、今週金曜日に1度外泊でおうち帰るよ」
「えっ!?知らなかった。それは隣の1階のおうちに帰るのかい?それとも、2階のおうちに帰るのかい?」
「そのおうちはどこにあるの?」
「それはねー、○○(実家のある町名)」
「でた!」
「なんでよー」
「正解は○○(住んでた町名)だよ」
「ほぇー、そっか」
といった感じで、やはり家の事になると記憶が曖昧な様子。
家の写真を見せながら
「住所は横須賀市…?」
と聞くと番地までスラスラ答えていた。
「それは言えるのね」
「これは分かるわよー」
と言っていた。
17:30に近づき、他の患者さん達が次第に夕食を開始している様子だったので
「みいもそろそろ夜ご飯だからスタッフさんが呼びに来るかもね」
と伝える。
「えー!パパもうちょっと居てよ」
と言ったタイミングで夕食の声かけをされ
「はーい。分かりましたー」
と愛想よく答えていた。
「今日もしっかり食べな。明日ももちろん来るよ」
と手を振って面会終了。
7/29(火)
仕事後に面会。
1階で面会受付の紙を書いていると、みいの声が聞こえたので振り返るとリハビリスタッフさんと歩行器で歩いていた。
「リハビリだったのね」
と伝えると
「心細かったー、パパー」
と言う。
3階へ着くと担当の理学療法士さんから呼び止められる。
3日後の外泊について許可願いの申請書を書く必要があるとの事で
「それならすぐに書きますよ」
と伝える。
紙をもらい病室へ。
出発を8/1の13:30、病院戻りを8/2の15:00、みいと相談しながら決定した。
今日のパパイラストを見せる。
「おっ!かわいー」
「みい毎回『かわいー』が出るね。ただ、今日のこれは分からんかも」
「まず、名前ですけれどー『ビックリマンの王子』だね」
「ビックリマンが出ただけスゴイね!パパ描いててこのキャラの名前忘れてたんだけど『スーパーゼウス』だったよ」
「ワシ知らんなぁ。でも『退院まであと16日』は読めたぞい。ゾイド。」
「残り16日なんて、なんか良くない?その前にまず外泊もあるし。外泊は3日後だよ」
「ふふふふふ。早く帰りたいよー。長いよー」
と言いながらも笑顔を見せる。
「今日は、これからまたドラム教えに行くんだ」
と伝えると
「えぇっ!?…ガクッ」
と気絶したフリをする。
「さて、ドラムは誰に教えてるんだっけ?」
「それは、○○○ちゃん」
「それだけは確実に覚えてるよね」
に頷いていた。
倒れた時の事をまた教えてほしいと言うので、共済病院に入院した当初の話をする。
意識がなく、鼻に管が入ってた事や、手や足にも色々と装置がついていた事を伝える。
「へぇー、すごいね」
と驚いていた。
「倒れてから数日後ぐらいから、パパの声にだけ少しだけ反応するようになったんだよ。パパは『ホントかなぁ?』って思ってたけど、お義父さんお義母さん、父さん母さんも口をそろえてそう言ってたの。みい覚えてないかもしれないけど『お?パパの声?』って聞こえてたのかもね」
「へへー。あ、そういえば、この時にお医者さんから『ずっとこの状態ですよ』って言われたんでしょ?」
「すごいね!前に、お医者さんからそう言われたって伝えた事あったけど、覚えてたの?」
「うん」
「だから今のみいの状態をみんな喜んでるんだよ。お話ししてるし、体に何もついてないし、かなり動くようになってるし」
と伝えると笑顔を見せていた。
17:30になったため
「また明日も来るね」
と伝え、お互いに手を振って退室した。
7/30(水)
仕事後に面会。
今日は病室にいたので声をかけると起きていたようで
「パパ、今日危ないらしいよ」
「お、何があったか聞いた?」
「台風」
「台風じゃないよ。津波だよ。自然現象だからしょうがないけど、外泊前にやめてほしいよ」
「外泊?それ知らん」
と不思議そうな顔をする。
改めて金曜日からの外泊について説明する。
「ところで今日は何曜日?」
「分からん」
「今日は水曜日で、金曜日に外泊だからあと2日で一度家に帰るよ」
「早く退院したいなー」
「そうだ、今日は何月かは分かる?」
「(両手で『7』を作って)7月」
「正解!理由は?」
「理由?何となくよ」
と笑っていた。
今日のパパイラストを見せると
「おおー!タルるーと君だ!すごーい、かわいいー!」
「さすがにこれは知ってたね」
「アニメもやってたもんね」
と言っていた。
座位になるよう促して左手をサイドレールに手をかけたタイミングで担当の作業療法士さんが声をかけて入室される。
先日(7/23)行った家屋調査の報告書を持参して説明に来られた。
リビング内での歩行器の置き場所提案や、動線、外泊中の記録方法、夜間パッドの装着方法、明日は外泊前なので夕食の様子も確認できる事などを共有する。
話が終わり、みいに目を向けるとベッド上で天井を見ながら笑顔を見せていた。
スタッフさんによると
「今日はリハビリ後に共有スペースに居ていただいたのですが、途中で見たら頭を伏せて眠ってらしたのでさすがに疲れたのかと思い病室へお連れしたんです」
との事。
「みい、そうだったの?」
と聞くと
「そうだったのかなぁ?よく覚えてないや」
と言いスタッフさんの笑いを誘っていた。
家屋調査の報告書について、ケアマネさんにも郵送しておくとの事なので重ねて御礼を伝え、スタッフさん退室。
「みいさ、退院した後にどっか外出する時に、目が横に向いてるのイヤだったら眼帯つけるって方法もあるよ。眼鏡の中に貼るタイプのがあるみたいなんだけど」
と確認すると
「いらないよ、気にしないし」
と即答していた。
「みいの気持ちが最優先だから、もし欲しくなったらまた言ってね」
「ほいほーい。あ、パパ、トイレ行きたくなってきた」
「どうすればいいんだっけ?」
「わ、分からん」
床頭台に貼った紙を読むよう促す。
「えー、トイレに行きたい時はナースコールをギュッと握ってスタッフさんを呼ぶこと、か」
「そういう事」
「え~?でも今日はパパ居るから呼ばなくてもいいだろ」
「それはダメよ。家ではパパがやるけど病院内はスタッフさんね」
と伝えトイレ前まで同行し面会終了。
7/31(木)
仕事後に面会。
3階へ着くといつもの面会シールが見当たらず、スタッフステーションに声をかけると慌てた様子でスタッフさんが出てくる。
・病棟内でコロナの感染者が2名出たため本日より面会は中止
・明日からの外泊は問題ない
・外泊前の食事確認のため、本日の面会は特別に許可
・面会再開日についてはホームページで公開
といった事を告げられ了承する。
共有スペースで待っていると、歩行器で歩きながらみいがやって来る。
先ほど伝えられた内容をみいにも伝える。
外泊後、数日間は面会に来られない事を伝えると眉間にシワを寄せて悲しそうな顔をする。
「怖い夢を見たんや。家族の誰かがコロナになったんやけど…誰だっけ?」
「みいの夢だから分からないなぁ」
「で、コロナになったから会えなくなったんや」
「その通りになったから、ほぼ正夢だね」
と伝える。
17:00
夕食開始。
椅子に座ったまま薄手のエプロンをつける。
食事内容は、柔らかめのご飯、白身魚、インゲン、肉じゃが、しば漬け、デザート果物。
左手でスプーンを持ち口に運んでいたが、何をスプーンに入れているか、どれだけすくえているかは分かっていない様子。
肉じゃがを指差して
「何に見える?」
と聞くと
「きんぴらごぼうに見える」
と答える。
「食べてごらん」。
「え!きんぴらごぼうじゃん!」
「肉じゃがだよ」
「見えないんだよねー」
「食べる前にスプーンを持ち上げて何を食べてるか確認しよう。難しいかもしれないけど、なるべく見てから食べてごらん。味はおいしいの?」
「うん」
「スプーンで何すくってるか分からないって事だね」
「そーだね」
「じゃあ退院して家に帰ってからはパパが1つ1つ見せてから口に運ぶようにしよう」
「それいいねぇ~」
「で、取りづらいやつだけはパパがスプーンでまとめるよ」
「それ助かるわー。それにしても、ご飯おいしいんだけど柔らけーぞー」
「みい好みの硬さで炊いてあげるね」
といったやり取りをする。
梨と桃の果物については、梨は分かったものの桃は判別できずにいた。
最後は、左手でコップを持ち上手にお茶を飲んでいた。
食後服薬し歯磨きを行う。
服薬は錠剤を渡せば自分で可能。
歯磨きは仕上げ磨きが必要と思われた。
「外泊後の8/3から面会解除されるまで数日間会えないの辛いなぁ」
と言うと
「なんで会えないのよー」
と怒ったような表情をする。
先ほど伝えた内容を忘れてしまったようなので再度
「コロナだって」
と伝えると
「そりゃしょうがないか」
と渋々納得。
食後トイレ誘導の声かけがあったのでそのタイミングで
「明日13:30に迎えに来るね。みいコロナにならないようにね」
と伝え、立位のまま手を振って面会終了となった。
8/1(金)13:30 ~ 8/2(土)15:00 外泊
予定通り13:30に病院へ迎えに行き、車で自宅へ。
病院へ外泊の様子を報告する必要があったため、時系列で行動を記録。
↓
14:20
自宅到着。
手引きで玄関へ。
2足1段で上る。
部屋に到着し尿意の訴えあり。
介護用品なしで見守り介助。
下着の着脱は立位を保ったまま行えていた。
14:30
福利用具業者さん、ケアマネさん到着。
突っ張り棒等を設置。
業者さんの声に
「何回か会った事あるよ」
と話す。
家屋調査の際に会った事に加え、午前中のリハビリでもお会いしたと後から知る。
ケアマネさんと挨拶をし、今後の介護サービスについての話し合いを行う。
訪問介護、訪問看護、訪問リハを組み合わせ平日午前午後にサービス提供する方向で検討するとの事。
15:30
福祉用具業者さん帰られる。
15:45
ケアマネさん帰られる。
16:00
介護ベッドに横になる。
16:45
歩行器で椅子まで移動して、ドーナツ、ポッキーを食べる。
両手を使い開封。
そのままテレビ視聴。
画面端にある小さなテロップを読む事ができていた。
17:30
爪がかなり伸びていたので手と足の爪を切る。
18:30
約半年ぶりとなる、家族3人揃っての夕食。
スプーンを使いオムライスを食べ完食。
ナスの味噌汁半量摂取。
19:15
服薬。
19:35
トイレにて排尿後、介助にて入浴。
20:15
入浴を終える。
浴槽内での転倒リスクを考慮し、退院後はシャワー浴とする。
本人も
「怖いから」
とシャワー浴を希望。
20:30
コップ1杯の水を摂取。
テレビを観ながら歓談して過ごす。
22:00
歯磨き。
点眼し、パット装着。就寝。
02:30
寝息を立て良眠。
04:30
起床と共に
「パパとバイバイしたくないよ。病院に戻りたくない」
と泣き出す。
「あと2週間の辛抱だよ」
と伝える。
04:50
トイレにて排尿あり。
前日より約半分の時間で完了する事ができていた。
05:10
会話の中で、前日に食べたドーナツ、ポッキー、オムライスの事を思い出す事ができていた。
05:20
排便あり。普通便。
06:20
排尿、排便あり。普通便。
06:30
朝食。
ご飯、キャベツの千切り、紅茶、目玉焼き、パストラミハム、サラダチキン完食。
オクラとめかぶの味噌汁半量摂取。
07:10
服薬、点眼。
07:20
歯磨き。
07:40
排便あり。
08:50
排尿あり。終了後ベッドへ。
09:10
「戻りたくない」
と再び泣き出す。
09:30
鼻腔内清拭。鼻垢除去。
09:35
入眠。
09:55
起床と同時に
「今日病院帰らなくていいんだよね?」
と泣き出す。
10:15
少し落ち着いた様子なので甘いものを、とアイスを提示。
少しずつ食す。
その後も断続的に泣き続ける。
12:00
昼食。
ナポリタンスパゲッティ完食。
12:20
服薬。
12:25
排尿あり。
13:10
ベッドで横になる。
14:00
排尿あり。
点眼後、なみきリハビリテーション病院へ向けて出発。
15:00
病院に到着。
外泊を終えて。
やっぱり家に妻が居ると空気が明るくなると思った。
私自身もちろん楽しかったし、早くまた3人での生活がしたいと強く思った。
「意識の回復は見込めないでしょう」
と言われていたのに、ここまで回復してくれた事に感謝した。
献身的に支えてくれた友人の看護師Tや、なみきリハビリテーション病院のスタッフさん、家族、妻を想ってくれた皆さんに感謝しかない。
何度も泣き出しがあり、妻も戻りたいと思ってくれている事が純粋に嬉しかった反面、また病院に戻さないといけない事や翌日から面会ができない事が心苦しかった。
8/3(日)
面会中止のため面会できず
(近日公開予定)脳梗塞で倒れ「意識の回復は見込めない」と医師から言われた45才の妻が家に戻るまでの闘病記【27】へ続く



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