まるすけ(@marusukepapa)です。
2025年2月18日(火)の夜、一緒にテレビを観ていた妻が突然目の前で意識を失いました。
すぐに救急車で搬送され緊急手術。
術後、医師から告げられた病名は
『脳梗塞』
でした。
「45才の若さで…?」
「ウソだろ…?」
『脳底動脈先端閉塞症(のうていどうみゃくせんたんへいそくしょう)』
という脳梗塞全体の中でも1%という稀な場所での発症との事。
ネットの情報も極端に少なく、内容も悲観的なものばかり…。
頭がおかしくなりそうな日々でした。
医師からは
「意識の回復は見込めないでしょう」
とまで言われましたが、奇跡的に今は後遺症を残しながらも在宅復帰して生活しています。
そんな、情報の少ない脳底動脈先端閉塞症。
「今後もし同じような状況になった方が、少しでも参考にしてくれたら…」
そんな想いから、数回にわたり私が書き留めておいた記録を元に妻の闘病記を公開していきたいと思います。
※文章は記録の文体のまま記していきます。
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6/23(月)
仕事後に面会。
寝ているみいに声をかけると目を覚まし、第一声で
「材料が足りなくてさー…。あ、寝ぼけてる?」
「何の夢見たの?何が足りないの?」
「原木(げんぼく)」
「マインクラフト(ゲーム)か!」
「そうそう。マジでヤバいとこだったからさー。パパが来てくれたから救世主だったよー」
どうやらゲームの世界に入った夢を見ていて、そこで生き延びるためには原木が必要だったらしい。
昨日の事を確認。
「みい、昨日誰が来たか覚えてる?」
「え!昨日?誰か来た?」
「大騒ぎだったよ」
「えー?でもさ、たとえば○○ちゃんが来たって、大騒ぎはしないだろ」
「その○○ちゃんが来たんだよ」
「あはは!マジか」
といったやり取りをする。
パパイラスト(キキララ)を見せる。
最初右手で持ってもらったが、やはりうまく掴めないので左手に持ち替える。
「あー!キキ君とララちゃん。めちゃくちゃかわいー」
と笑顔を見せていた。
記憶確認を行う。
以下、やり取りを記す。
①
「トイレしたくなったら?」
「呼ぶ」
「どうやって?」
「ピリリリのやつ」
「どこにある?」
「あれ?ないー。プァプァー」
「これだね」
「ワシ押した事ない」
「パパと一緒にいる時、10回以上押してるよ」
「マジか」
②
「年齢は?」
(笑顔で)「わかんない」
「45歳だよ」
「ワシー、45!?」
「この前は20代だったよ」
「まだ45か。もう60歳になっちゃったかと」
③
「いま何月?」
「今ねー、ナウ、今でしょー…はいはいはい!4月です」
「6月だよ」
「なんでだよー」
④
「パパ来たって事は何時かな?」
に左手の指を広げ
「5時!」
と即答していた。
退室時
「今日もしっかり食べようね」
に
「ほーい」
と手を振って応えていた。
6/24(火)
仕事後に面会。
病室で声をかけると目を開ける。
「お、5時前って事かい?」
「正解。よく分かったね」
「パパー、お腹すいたー」
「お腹がすくっていうのは健康な証拠だからとってもイイね!」
「でもねぇー、食べたいのはパパが作るもの限定ね」
「ここのご飯、不味いの?」
「よー分からんけど、食べていいのか、悪いのか…分からんのよねー」
「しっかりと考えて調理してくれてるから食べていいんだよ」
「お腹すいたー」
「17:30からご飯だよ、もうすぐだからね」
といったやり取りをする。
唇が乾燥していたので久しぶりにリップクリームを塗る。
気に入っているようで、両手でピースをしながら
「メロン(のにおい)、とってもイイ」
と笑顔を見せていた。
「17:30でパパ帰るけど、入れ替わりで夜ご飯だから嬉しいでしょ」
「♪うれしい♪楽しい♪大好き♪」
「しっかり音程取れてるから、家に戻ったらカラオケできるね」
「カラオケ、いいねー!」
「みいさー、病気で入院したけど、歌がうまいのは変わらなくてよかったね。パパなんて病気してないのに音程取れないよ」
「そ、そ、それはいいとしてー…えー…何だっけ」
と、気を遣って話を逸らしていた。
今日のパパイラスト(はなかっぱ)を見せる。
「はなかぱー、赤ちゃんはなかぱー」
と
「はなかっぱ」
の事を
「はなかぱー」
と言って笑顔を見せていた。
「そうだ、みい。報告する事があるよ。パパと一緒に行ってる美容室の娘さん覚えてる?」
「○○○ちゃんでしょ」
「すごいね…!よく名前出たなぁ」
「あの子、頭いいからさー、良い高校行くと思うよ」
「高1だよ」
「なんやて!」
「で、高校入って軽音部に入ったらしく、なんとドラムやってるんだって」
「いいと思う。パパ分からないとこ教えてあげられるし」
「よく分かったね。明日の夜教えに行くんだ」
「とってもいいと思うよー」
と笑顔を見せていた。
帰る前にトイレの確認。
「トイレしたくなったら?」
に、今日はスムーズに
「ナースコール」
と答えていたが、やはり場所がなかなか掴めないでいた。
17:30
「また明日も来るよ」
に
「絶対来てねー」
と手を振って見送っていた。
6/25(水)
仕事後に面会。
スタッフステーションに着くと呼び止められる。
「次回の参議院選挙、入院中の方は院内で投票ができるのですが、今日奥様に確認したところ『やりたい』との事だったのでこちらの依頼書をご記入願えますか?」
と言われる。
みいが選挙の投票をしたいと答えたのが意外だったので
「病室でもう1度確認しますね」
と一旦預かる事にした。
病室に着いてみいに確認すると
「そんな事、言ってないよ」
との事。
「やっぱりね。面会の帰りに依頼書の件は断るね」
と伝える。
すると
「パパが怒られたらどーするの?怒られると思うよ」
と言うので
「大丈夫だよ」
と伝える。
「ところで、みいは今日どんな事やったの?」
「だからー、こうやってウソついたり、リハビリやったりよ」
と少し笑いながら答えていた。
「そういえば、月日が分かるんだよ最近。今日は6月だよー」
と言うので
「もう夏だね」
と伝える。すると
「えー?もう夏なのー?」
と驚いていた。
突然、ネコのぬいぐるみを手にし
「ん?なんだ?小五郎」
と言う。
「そのネコ、まるちゃんって呼んでたけどそれはやめたの?」
と聞くと
「うん」
と答えていた。
17:09
座位になるよう促す。
今日のパパイラスト(アンパンマン)を最初は右手で持ち左手に持ち替えていた。
すると
「かわいー、ミッキー」
と言い、すぐに
「…おいおいおーい!どこがミッキーだー。これはアンパンマンだろーが」
と言いながら横になっていた。
時間を見ると17:20だったので
「11分も座っててやっぱ疲れた?」
と聞くと
「ちゅかれたー」
と笑っていた。
昨日話した事を確認。
「今日これからのパパの予定分かる?」
「え?パパー、どこ行くのー?」
「ドラム教えに行くんだけど、誰にでしょう?」
「え?誰だっけ?」
「美容室の?」
「あー、誰だっけなー、名前出てこない」
「名前の最初は『○』だよ」
「あ!○○○ちゃんだ。ドラムやってんの?」
と質問してくるので改めて昨日と同じ内容を伝えた。
電子ドラムを買ったという事も伝えると
「やるなぁ」
と笑顔を見せていた。
17:30
帰る声掛けをすると
「トイレしたくなってきた」
と言う。
「じゃあどうする?」
と聞くと必死に右手を頭の所まで伸ばしてナースコールを探していた。
「トイレしたい時はそれ押すって分かってるのはすごいじゃん!」
と伝えるが
「そうなの?」
と実際理解しているかは怪しかった。
ナースコールで看護師が入室したため
「みい、また明日ねー」
と伝えると
「うん、またねー」
と笑顔で見送っていた。
6/26(木)
仕事後に面会。
声かけですぐに起きる。
「パパー、どうしたらいいか分からん」
「電気つけるから待ってて」
「ここにー、犬(ネコのぬいぐるみ)いるでしょ?ほんでー、ベッドに横にしてもらってるじゃん?なんも分からんのよ、マジで」
「なんも分からんけど、目の前にいるのは?」
「プァプァ」
「分かってるじゃん。それだけで充分だよ」
といったやり取りで笑顔を見せる。
前日、ネコのぬいぐるみの事を小五郎と言っていたため、記憶の確認を行う。
「ところでネコのぬいぐるみの名前は?」
「え?この子~?えーと…」
「今日名付けてもいいよ」
「えっとねー、セバスチャン」
「ネーミングセンス的には100点だね」
と伝えると笑っていた。
病室の車椅子に『ネコがスキ♡』という4コマ漫画が入っていたのでみいに確認。
本を見せると
「ネコが…スキ?何それー面白い!でも記憶にないよ」
と話していた。
さらに前日の記憶確認を行う。
「昨日パパがみいとの面会後にどっか行ったんだけどどこだったっけ?」
「え?どこ行ったの?ママ連れて行かずに?」
「じゃあヒントね、美容室のー」
「○○○ちゃん?マジかー!あれ夢じゃなかったんか!パパがドラム教えに行くって言ってたんだけど、そんな訳ないと思って夢かと思ってた」
「実際に起きてる事と夢の区別がつかないのかもね。でもさぁ、夢だと思ってたとしてもだ、少しずつ記憶の定着が出来てきてるって事だから、パパ嬉しいな」
と、早い口調で会話をする。
普段閉じ気味の右目に目ヤニがあったため、床頭台にある『コットンアイ(清浄綿)』で拭き取る事を伝える。
すると
「拭かなくていーんだよ、こんなやつのこんなもの」
と文句を言いながらも自分で眼鏡を外していた。
拭き取りが終了すると、自分で両手を使って上手に眼鏡を装着する事ができていた。
今日も座位を保つ練習をする。
少しだけ介助すれば座位を取る事ができていた。
「今日のパパイラストを見せるよ」
と言い、カバンの中を確認するが見当たらず。
忘れてしまったようなのでみいに謝る。
すると
「明日持ってくるんだろー?ならいいじゃないかー」
と言っていた。
「ちなみにイラストは何かと言うとスヌーピーだよ」
と伝える。
「あらいいじゃない。明日覚えてたらいいねー」
と言っていた。
17:30になったため
「それじゃそろそろ帰るね。ご飯しっかり食べてね」
と伝えると左腕でネコのぬいぐるみを抱えながら、右手で手を振って見送っていた。
6/27(金)
午後半休にして面会に行く。
14:00から担当の作業療法士さんのリハビリ予定だったためリハビリ室へ。
奥のベッドで座位になり右の靴を履こうとしているところだった。
スタッフさんに挨拶をすると
「パパ、これ履けねーぞ」
と言う。
「昨日は履けてたんですけどねー。日によって波がありますね」
とスタッフさんに笑顔で言われていた。
「今日は最後に歩行訓練もしましょう」
と言われ廊下へ。
両脇を支えられながら、廊下の途中にある椅子まで歩く訓練をする。
やはり足元が見えないようで
「あら怖いわ」
と言いながら歩いていた。
椅子への着席はゆっくりだが行えており、座位も保持できていた。
病室へ戻る際、7/1に行われるIC(=インフォームドコンセント)について説明があった。
当日は支援チームと現状の説明を行い、退院後の生活を考えるための自宅訪問の日程を決めたいとの事。
退院前に車椅子のレンタルを先に行い、自宅訪問の際にはその車椅子を持参。
みいも一緒に行って実際に動きを確認する、といった内容だった。
了承し、車椅子を検討するにあたり家の廊下幅を計測しておく事を伝えた。
その話をしている最中、みいは穏やかに微笑みながら聞いていた。
病室に着き、みいに説明すると
「何を話してるのかワケ分からんと思ってたよ」
と言っていた。
話を進めていると、どうやらみいが言っている自宅というのはみいの実家の事らしく、
「一緒に住んでた家の事は分かる?」
と伝えると
「……」
と天井を見つめ真剣な顔をする。
時折笑顔で
「○○ちゃん○○ちゃん(息子の名前)」
と言っていた。
「家の構造や間取りを忘れているのが不思議だね」
と伝える。
今日のパパイラストについて
「何を描いたか、昨日伝えたけど分かる?」
と聞くと、
「いや、聞いてないね」
と言う。
絵を見せると
「スヌーピーだ!かわいーね。あっ!ウッドストックもいるー」
と笑顔を見せていた。
「明日もリハビリの時間に合わせて来るよ」
と伝えると両手で手を振っていた。
6/28(土)
リハビリに合わせ14:30から面会。
2階のリハビリ室へ行くと、作業療法士さんと低い座面へ座るリハビリを行っていた。
家の浴槽内に座るイメージとの事で高さ約20cm。
声をかけると
「これアタシ不得意だよね」
と言う。
「みい足元と後ろが見えないから不安だよね」
と伝えると
「そうそう」
と言いながら、両手で手すりを持ってゆっくりと腰を下ろしていた。
休憩後、廊下を歩くリハビリを行う。
スタッフさんに脇を支えられながら歩く。
途中、車椅子の事を『乳母車』と言い間違えて笑っていた。
15:00
病室へ戻り
「電気はどうしますか?」
と言われ
「いえ、点けなくて結構です~」
と明るい声で伝える。
ところがスタッフさんが病室を出ると低い声で
「電気点けてもらっていいかい、パパ」
と言い、猫を被った自分に笑っていた。
面会中、周りの声が聞こえるとすぐ
「うるせーなぁ」
と言うので今日も厳重注意。
「そんな態度ばっかりとってるならパパ帰るぞ」
「はぁい」
「パパたちの会話も他の人にとったらうるさいかもしれないだろ」
「はぁい」
「誰も注意なんかしてこないでしょ?」
「はぁい。ねぇねぇ、お腹すいたよー。どうすりゃいいの?」
「全然聞いてないじゃんか」
「あははー」
「まだ3時で、ご飯は5時半からね」
「アホだなー、もー」
「最近Tは来た?」
「Tはー、来てないよん」
というやり取りをしていると看護師さんがパッド交換のため定期巡回。
排尿なしだったため
「大丈夫ですねー」
と交換せず退室。
お礼を伝える。
「あー、早く退院して美味しいご飯食べたい」
「でも、ここのご飯美味しいんでしょ?」
「美味しいぜー、すごく美味しいぜー」
「美味しいの食べてるじゃん。パパなんて毎日適当な食事だよ」
「パパー、しっかり食べやー」
「みい、昨日の面会のあとパパ夜勤だったって覚えてる?」
「うーん、パパ出てった後は覚えてると思う」
「今は?」
「覚えてないね」
「うん、大丈夫だよ。明日もリハビリの時間に合わせて14:30に来るよ。15:00からリハビリ見られるから長めに居られるよ」
「うれしー」
と話していると、リハビリ後だったためか次第に眠そうな表情になり
「えーとねー、布団さげてー」
と足元を指差しながら言う。
「どゆこと?ひょっとして眠くなった?」
「あはは、バレたか」
「ご飯までゆっくり寝てなね」
「パパがずっと居られたらいいのになー、でもすぐ明日になるよね」
と言い、今日も両手で手を振って見送っていた。
6/29(日)
共有スペースで舌の動きのトレーニングをしていた。
上唇から下唇に舌を移動させる事や
「ぱぱぱぱ」
「たたたた」
「かかかか」
「らららら」
「ぱか」
「ぱら」
「たか」
「たら」
「ぱたから」
等、言葉の組み合わせをゆっくりと早くでそれぞれ2回ずつ繰り返す。
終了後
「めっちゃ疲れたー」
と言い、少し汗をかいていた。
15:00からのリハビリに備え、そのまま共有スペースで面会。
「パパいてねー、このあともいてねー」
と言い
「パパの前だけだよ、面白い事言うの。超つまんねーよー、つまんねー事ばっかりやってるよー」
と矢継ぎ早に愚痴をこぼして、早口で話してる自分に対して笑っていた。
今日のパパイラストを見せる。
すぐに
「あっ、かわいー、サザエさん」
と理解する。
「あ、トイレ行きたくなっちゃった」
と言うので看護師さんを呼んでトイレに行く。
15:00
初対面の理学療法士さんが
「はじめましてー、よろしくお願いします」
と挨拶に来て一緒に1階リハビリ室へ。
ベッドに横になり、首元のマッサージから行う。
マッサージ後
「ベッド上でまっすぐに寝てみてください」
と言われ、足を伸ばして寝るが、腰から下は左に寄ってしまっていた。
みいはまっすぐのつもりらしく、少しずつ声掛けし、まっすぐに訂正する。
足の伸縮リハビリを行っていると
「パパじろー、いる?」
と言う。
スタッフさんが呼び名に笑うと
「パパいると甘えちゃうんですよねー。いないと、しおらしくしてんのに」
と言い、さらにスタッフさんの笑いを誘っていた。
目の運動。
左目はしっかり目で追えて、見える範囲も広いが瞳が下に向かない。
右目は外側に若干動く程度だったが、左に比べるとピントは合いやすい様子だった。
その後は、違うベッドに向かって歩くリハビリを行って終了となった。
みい希望で共有スペースで面会を再開。
「お腹すいたよー」
「頑張った証拠だね」
「頑張ったかな?」
と笑っていた。
部屋に戻ると
「年寄り…よりとし…ふふっ」
と眠そうな様子。
「ご飯まであと1時間あるから寝なさい」
と伝えると
「パパー、また明日ねー」
と右手で見送っていた。
(近日公開予定)脳梗塞で倒れ「意識の回復は見込めない」と医師から言われた45才の妻が家に戻るまでの闘病記【21】へ続く



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