まるすけ(@marusukepapa)です。
2025年2月18日(火)の夜、一緒にテレビを観ていた妻が突然目の前で意識を失いました。
すぐに救急車で搬送され緊急手術。
術後、医師から告げられた病名は
『脳梗塞』
でした。
「45才の若さで…?」
「ウソだろ…?」
『脳底動脈先端閉塞症(のうていどうみゃくせんたんへいそくしょう)』
という脳梗塞全体の中でも1%という稀な場所での発症との事。
ネットの情報も極端に少なく、内容も悲観的なものばかり…。
頭がおかしくなりそうな日々でした。
医師からは
「意識の回復は見込めないでしょう」
とまで言われましたが、奇跡的に今は後遺症を残しながらも在宅復帰して生活しています。
そんな、情報の少ない脳底動脈先端閉塞症。
「今後もし同じような状況になった方が、少しでも参考にしてくれたら…」
そんな想いから、数回にわたり私が書き留めておいた記録を元に妻の闘病記を公開していきたいと思います。
※文章は記録の文体のまま記していきます。
過去の投稿はこちら
↓
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5/12(月)
仕事後に面会。
ちょうど看護師さんに経管栄養注入してもらっているタイミングだった。
数時間前に友人の看護師Tから
「ネコのぬいぐるみを持って行った」
とLINEあり。
確認すると枕元にあり
「家のネコと同じぐらいかわいいかわいい」
と言う。
「さっきT来た?」
と聞くと
「覚えてない」
と言うがしばらくすると
「さっきTが来てー、リハビリちょっと見てくれた」
と話す。
「ぬいぐるみの名前どうする?」
と聞くと
「リハビリ君」
と言い、誉めると笑っていた。
同室の患者さんの所に栄養士さんが挨拶に来ると、それを盗み聞きしようとする。
「コラ、そっと聞いてんじゃないよ」
と注意すると笑いながら
「あはは、バカヤロー、聞いてんじゃないっての、聞き耳たてやがって」
と言っていた。
「明日の検査次第でこれから口で食事できるようになるかもしれないけど、気負わずに、いつも通りにやるんだよ」
と伝えると
「そうなんだー。分かったー」
と言う。
「これからみいの実家に寄って『みいノート』渡すんだけど、伝えとく事ある?」
「あ、ホントー?もう通じるんだっけ?」
「みいが話してる事?もちろん伝わるよ」
「この会話(を伝えて)」
「オッケー、伝えておくね」
といったやり取りをする。
再びTが来た時の話を振ると
「覚えてない。なんか覚えられないんだよ」
と言う。
「大丈夫、みいの目の前にいるのは?」
の問いに
「パパー」
と答えたので
「それで充分だよ」
と伝えると笑顔を見せる。
見送り時、今日は両手で手を振っていた。
帰宅後、TからLINEで今日こんな会話があったと報告あり
↓
『明日鼻の管が取れるかどうかのテストかも!って言ったら「何か入ってんの~?」とか言ってて笑った。めっちゃ入ってますけどね!笑。この管はまだ抜いちゃダメなのよ?って言ったら「宇宙の果てまで引っこ抜く」って言ってて「イッテQ~笑」って笑ってた!』
やはり親友の前では、着飾らない素の顔を見せているんだなと感じて嬉しくなった。
5/13(火)
仕事後に面会。
到着すると担当の言語聴覚士さんに声をかけられ、本日の嚥下状態検査について
「無事にクリアしました!」
と報告を受ける。
検査中は炊いたご飯もよく噛んで飲み込み、わずか10分で検査終了となったとの事。
本日夜のみペースト食での提供で、明日からは3食とも常食になるとの事だった。
「スタッフ皆さんのおかげです」
とお礼を伝えると
「ご本人の頑張りですよ」
と言われる。
検査後から鼻チューブと両手ミトンが外れ、3ヶ月ぶりに鼻に何もない状態になる。
担当の言語聴覚士さんから
「あとで一緒に夜ご飯食べましょ」
と言われ笑顔で頷く。
「良かったね、みい」
「良かったよー」
「何が良かったかな?」
「よーわからん。なんか、喜んでるから良かった良かった」
「誰が?」
「なんかー、周りの人。パパとか」
「Tにも教えないとね」
「うん。T、すぐ心配するからなー、心配しいだからなー」
「今日は1日、みいの検査の事ばっかり考えてたよ」
「そんな考える事ないのにー」
「考えるだろ、ずっと鼻のチューブ取りたかったんだから」
「パパすごいなー、1日中考えちゃうんだから、こんなみいの事。驚いちゃうよ」
「そんだけ大事って事だよ。炊いたご飯が食べられたんならパパオムライスも食べられるね。家に帰ったら食べるかい?」
「食べるー!」
と笑顔でやり取りをする。
「とにかく、今日は鼻の管だけじゃなくて両手のミトンも取れて良かったよ」
と言うと
「鼻の管ついてたの?」
と聞いてくる。
「そうだよ、ずっとついてたから、パパ、早く取ってあげたかったんだ」
と伝えると
「そーなんだねー」
と言っていた。
(ミトンも同様に、ずっとつけていた事が分からない様子だった)
面会終了時間になったため
「じゃあねみい。今日もゆっくり寝て、明日からは3食しっかりご飯食べるんだよ」
と伝えると
「楽しみだー、お腹もすいちゃうね」
と言っていた。
5/14(水)
仕事後に面会。
病室に着くと前日と180度向きが変わった配置となっていた。
寝ていたので声をかけると目覚める。
「なんで反対向きになったんだろね?」
と聞くと
「なんでだろー」
と言う。
「今日から普通のご飯になったでしょ」
と伝えると
「覚えてない」
と言う。
「あ、いま気が付いたけど、みいが寝てるベッド、フランスベッドだよ」
と教えると
「あらいいベッドだねー」
と笑顔を見せる。
記憶の確認。
「パパってダンス得意だったかな?」
「ううん、パパはダンス得意じゃないよー」
「今日ね、事業所の活動でやってきたんだよ」
「かわいそうに」
「みいは歌もダンスもうまいんだよねー、でもなぜかドラムだけはうまくないんだよなー。いくら教えてもダメだったもんねー」
「へっへー、おもしろいね。あ、Tがね、『〇〇でーす』とか言ってたんだけど、よく聞き取れなかったんだよ」
「今日?」
「今さっき」
といったやり取りをする。
帰宅後に、TにLINEで聞いてみるが今日は面会行ってないとの事。
時間の確認。
「時間ねー、わかんないんだよな今。さっき夜が来て、で『みい時間』が来て、それが6時で」
「それは朝の6時?それとも夜の6時?」
「夜~、で、『みい時間』が来て、今6時15分だね」
「正解は…おしい!今5時25分。1時間ぐらいのズレだった。朝じゃないのは分かったの?」
「そうそう、何て言うの?0時に向かってる感じがしたからね」
「いいねー、その感覚は合ってるよ!」
「良かった良かった」
といったやり取りをする。
担当の看護師さんが入室。
これからトイレに行き、その後共有スペースで介助をしながら夕食するとの事。
「今日もよろしくお願いします」
と伝え退室した。
5/15(木)
仕事後に面会。
到着すると担当の理学療法士さんから声をかけられる。
最近は覚醒状態がすごく良くて、笑う事も多くなってきたとの事。
人格変化がなくて良かったとお伝えすると
「そういえば奥様は、普段から『テメー』とか『バカやろう』という言葉を使われますか?」
「私と2人の時には仕事の愚痴とかでそういう言葉が出る時もありましたが、普段は自制できていました」
「普段のご様子を知っているのはご家族なので、聞けて良かったです」
「口が悪くて嫌な思いをさせていたら申し訳ございません」
「全然大丈夫ですよー!」
といったやり取りをする。
病室に着くと目を閉じて眠っていた。
声をかけると満面の笑顔を見せる。
「また今日も寝てたんだね」
と伝えると
「だって寝るしかなくない?」
と笑顔のまま答える。
「そういえば、さっきスタッフさんから報告があったぞ。みい、リハビリ中に『テメー』とか『バカやろう』って言葉を言ってるらしいじゃないか」
と伝えると
「うそー!?言ってた?抑えてたつもりなんだけどね」
と笑いながら話していた。
記憶の確認。
「ご飯を口から食べてるだろうけど、それは覚えてる?」
「覚えてるよ」
「どこで食べてるの?」
「(ベッドを指差して)ここ」
「ここ?あっち(共有スペース)じゃなくて?」
「ここだよ」
「そっかー、昨日担当の看護師さんがあっちの共有スペースで食べてるって言ってたからさ。食事は何を食べてるの?」
「…あははー」
「笑ってごまかしたね?」
といったやり取りをし笑っていた。
担当の作業療法士さんが入室。
2か月目となる「リハビリテーション総合実施計画書」の説明をされる。
意識障害「なし」に改善。
移乗に関しては「全介助」から「最小介助」へと変更されていた。
コミュニケーションにおいても「全介助」から「中程度介助」に変更。
まだ注意障害は見られるものの、耳はよく聞こえていてリハビリ中にも周囲の音には敏感に反応すると言っていた。
今後も更なる改善を目指し頑張っていく、と報告を受ける。
食事が経口摂取になったのでその点にも期待したいと伝えた。
計画書にサインをし、スタッフさんがコピーをとりに退室すると
「〇〇さん(担当の作業療法士さんの名前)かわいいね」
と言う。
戻ったスタッフさんにその事を伝えると
「えー?そんな事、リハビリ中には1度も言った事ないじゃないですかー」
と言う。
それを聞いて
「恥ずかしいからねー」
と笑顔を見せながら話していた。
面会終了時間になったため
「これからご飯かもね。しっかり食べるんだよ。また明日も来るからね」
と伝えると
「はーい、じゃあねー」
と今日は左手を振って応えていた。
5/16(金)
仕事後に面会。
左向きで眠っていたが、声掛けで目覚める。
「みい、この時間よく寝てるね」
と言うと
「でも○○ちゃん(息子の名前)、ワシー、これ、寝てた?」
と目を閉じたまま答える。
「目の前にいるのはパパだよ」
と教えると
「そっか」
と笑っていた。
はっきり目覚めていないタイミングはチャンスなので、ここで短期記憶の確認。
みいノート用のメモ帳を見せ
「これ何だ?」
と聞く。
「何それ?みいノート?」
と答えたため
「おおー、正解!やったね、みい。意識が戻ってから昔の記憶は思い出せてたんだけど、新しく何かを覚える事が出来ずにいたんだよ。でも今は『みいノート』ってスッと出たね!」
と伝えると満面の笑顔になる。
爪が短くなっていたので
「爪切ってもらったんだね」
と伝えると
「そうなのかー」
と言う。
続けて
「夜に起きてー、爪切ってもらったんかねー」
と話していた。
ぬいぐるみのネコを持ち上げ
「重い」
と言う。
「Tが『リハビリにもなるから』って少し重さのあるぬいぐるみをくれたんだよ」
と伝える。
そのタイミングで担当の言語聴覚士さんが入室。
前日、理学療法士さんに対し口が悪いとの話があったため言語聴覚士さんにも確認。
「そうなんですか!?私には全然出ませんよ。ちゃんと相手によって対応を変えているという事は、それぞれの人を認識しているという事かもしれませんよ」
との見立て。
口が悪いという話題の時はベッド上で笑顔を見せ続けていた。
言語聴覚士さん退室後
「明日じいじちゃん連れてくるね」
と伝える。
帰る前に
「さて、今日も夜勤だからまたみいの応援もらおうかな」
と伝えると
「パパ、夜勤がんばってー」
と左手を振りながら言っていた。
5/17(土)
義父と一緒に面会に行く。
3階に着くと、入口すぐの机にみいを発見。
「なんかよく分かんないけど連れてこられたんだよねー」
「最初のリハビリは終わったんでしょ?」
「終わったみたいだねー、次は違う人かなー」
「次はねぇ、別のリハスタッフさんのリハビリだよ」
「初めての人かなぁ。パパとー、じいじちゃんはどこにいればいいんだ?」
「終わるまで一緒に見てるよ。みいがサボらないように見張ってないと」
と笑顔を交えてスムーズに会話を交わす。
義父が
「すごい回復だね」
と伝えると
「あぁ、お話ができなかったもんね」
と笑顔で話していた。
続けて、義父と
「ご飯はおいしい?」
「おいしいよ、すごく」
「何食べた?」
「何だっけなー」
「昨日の夜はお粥食べたでしょ」
「食べたかなぁ」
「今日は何ご飯?」
「何だっけなー、誰かしらいるから気が散っちゃうんだよねー」
といったやり取りをする。
手で片目ずつ視界を塞いで視野の確認をすると両目とも見えている模様。
左側に座る義父に対し
「じいじちゃん、見えてるよ。座ってるね。疲れないか心配だよ」
と言う。
次のリハビリスタッフさんが来られ、2階リハビリ室へ移動。
平行棒で歩行確認を行う。
以前よりもスムーズに歩行ができており、スタッフさん提案でもう少し長い距離を歩いてみようという事になる。
廊下に出て、手すりを支えにしながら歩いていると、窓の外を見て
「雨ふってるね。駐車場だね」
と言っていた。
廊下を2往復(合計約200メートル)歩き、車椅子に戻る。
スタッフさんによる視野確認で右目は約半分(45度)、左目は概ね異常ない範囲(100度)で見えている事が分かった。
右腕にこわばりが見られるため、原因を探るためにコルセットで体のブレを確認する事になり固定のため少し強めにコルセットを着用。
「めっちゃいてー、あー、これは きっと違うなー」
とやや大きめの声で言う。
「ガマンガマン」
と伝える。
そのまま手すりを持ちながら歩行確認。
スタッフさんの見解では腰部分のブレはなさそうだとの事。
今回の調査結果は記録に残し今後も様々な方法でこわばり解消のためアプローチしていくと話される。
病室に戻り、明日は息子を連れて来る事を伝え退室。
疲れからか眠そうに見送っていた。
5/18(日)
リハビリ開始前に合わせて息子と一緒に面会に行く。
ところが、病室に姿が見えなかったため確認すると、急きょ1時間前倒しに変更になったとの事。
急いで2階のリハビリ室へ向かうと、ちょうど部屋から出てきたところで遭遇。
2人が来た事が分かり
「あ!○○ちゃん(息子)髪切った、かっこいいー!」
と笑顔で話す。
病室に戻り横になる。
ぬいぐるみのネコを見て
「ニャンニャンかわいいなー」
となでていたので、息子が
「ママ、ネコ見せて」
と言うと
「いーよー」
と手渡す。
「なかなか重たいね、これ名前は?」
と息子が質問すると
「名前…?忘れたー」
と言っていた。
記憶の確認。
「今日は何曜日?」
と聞くと
「き、金曜日!?もしかして」
と言うので正解は日曜日と教える。
(ひょっとして眠いんじゃないか?と推測し始める)
「昨日、じいじちゃんが来たのは覚えてる?」
「あ、覚えてる覚えてる」
「じゃ、ばあばちゃん来た?」
「来た来た」
「ブー。昨日じいじちゃん何してた?」
「小さい頃のまるすけをウチらに見せた」
「夢かもね」
「あーそうか、実際してないかー」
といったやり取りをする。
(もう眠いんだろうな、と思う)
続けて、息子と以下のやり取りをする。
「ずっとネコ触ってるね」
「触り心地が良くてー、良いですよー、非常にかわいい」
「誰が持ってきた?」
「分かんないですー」
「リハビリになるって誰かが持ってきてくれたんだよ」
「じゃ、Tか」
明らかに眠そうな表情なので
「帰る前にリップクリーム塗るから上向いてごらん」
と伝えると
「♪ちかごーろー、私たーちはー、いー感じ」
と口ずさんでいた。
息子が腕組みをしながら
「今どんなポーズ?」
と聞くと腕を組む仕草をする。
「じゃあママ寝なさいな」
の声かけに笑顔になり、2人に
「おやすみー」
と言って見送っていた。
(近日公開予定)脳梗塞で倒れ「意識の回復は見込めない」と医師から言われた45才の妻が家に戻るまでの闘病記【16】へ続く



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